抗生物質は万能の薬ではない

私たちは、良く風邪をひくと抗生物質が処方されます。抗生物質は万能の薬ではありません。風邪の原因はほとんどがウィルスであり、抗生物質はウィルスに直接的な殺菌効果が無いため抗生物質を服用しても風邪が直接的に治るわけではありません。新型コロナもウィルス性の病気ですので、抗生物質が効かないためワクチンに頼っていますし、抗ウィルス薬を服用するのです。

何故風邪の時に抗生物質が処方されるのか?

風邪により抵抗力の弱った状態で他の病気にかからないようにするために、予防的に抗生物質を服用するのです。私自身は、ウィルス性の風邪ではなく細菌性の咽頭炎にかかることが多いので治療には、抗生物質が必要になります。
この様に抗生物質は、基本的に細菌に強い殺菌効果があるのですが、ウィルスには一切効果がありません。また、酵母やカビは細菌では無いためほとんどの抗生物質は効きませんが、抗生物質の中には本来効果の無い酵母やカビに効果のあるものがあります。

 

抗生物質は何故作られるのか?何故細菌に効くのか?

抗生物質の殺菌作用により、細菌自身の周りにある細菌を殺してその栄養を吸収するために細胞に生産機能が備わっているのです。その殺菌効果は、アルコールのように直接的に殺菌効果を持つのではなく、増殖時に生きていくのに必要な物質を阻害することが細胞が死ぬことに繋がるのです。代表的な抗生物質であるペニシリンは、細菌の細胞壁様の阻害剤として作用します。増殖時に細胞壁が作られない状態で増殖するため、細胞壁が薄くなり細胞の内圧に耐えられなくなり破裂してしまい死んでしまうのです。



抗生物質は決まった期間に飲み切らないといけない。

前述の様にペニシリンは細胞膜の合成を阻害します。しかし、細胞の増殖速度は、早くその間に遺伝子変異が偶然起こり、この作用部位が変化してしまい、服用している抗生物質が効かない細菌が生まれてしまう可能性があるのです。その為、中途半端な飲み方ではなく決まった期間服用することで、抵抗性を持つ細菌の発生を抑制することが出来るのです。
特に複数の抗生物質に対して抵抗性のある細菌が生まれる事は、大問題になりました。最後の抗生物質でも効果のない細菌が生まれてしまったのです。免疫が通常の状態であれば増殖を抑制できるのですが、細菌に対する抵抗性の落ちた状況では体内で増殖してしまって効果ある抗生物質が無く、効果的な治療が出来ないのです。




現在、生産されている抗生物質は、土壌細菌である放線菌から見つかっています。次の抗生物質も土壌から見つかると思っていますが、この耐性菌との戦いはイタチごっこであり次の抵抗性の細菌が生まれてしまうかもしれません。
ですので、抗生物質は症状が落ち着いたからと言って服用を止めるのではなく飲み切るようにしてください、よろしくお願いいたします。

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