胞子で増殖をするカビ

カビと聞くと不潔なイメージがあると思います。カビは、胞子で増殖を行います。胞子は、空中を漂っており、梅雨時期ですと日本は高温多湿であるためカビの増殖に適した環境であり、湿度のより高いお風呂場で繁殖してしまうのです。確かにほとんどのカビは無害ですが、それは我々ヒトの持つ免疫機構が働いているのでカビが繁殖しないだけで、免疫機構が壊れた状態ですと体中がカビに覆われてしまいます。実際、エイズ(免疫不全症候群)の最後の状態は、肺がカビに覆われてしまって呼吸が出来ずに亡くなってしまうそうです。



キノコもカビの仲間

勿論我々の役に立つカビもあります。まず、キノコも広く言えばカビの仲間です。次にコウジカビは、デンプン分解酵素を菌体外に大量に放出するためお米や豆の持つデンプンを分解させるのに利用され、日本酒や醤油やお味噌を作るのに利用されます。昔、日本の発酵食品は欧米に輸出できませんでした。これは、原材料にコウジカビが使われていることが問題視されたためです。


問題視されたコウジカビ

このコウジカビが問題視された理由は、欧米のコウジカビはカビ毒を生産するためでした。しかし、我々日本人は何百年と発酵食品を食べていましたが死亡したヒトはいませんでした。そこで、研究が行われた結果、日本と欧米のコウジカビは、同種の物であることが分かりましたが、決定的な違いがあったのです。それは、カビ毒を作る遺伝子を日本のコウジカビは持っていないことが証明された為、輸出が出来るようになったのです。今回の紅麴製品で起こってしまった死亡事故はコウジカビ単独での原因ではなく、今言われているようにカビ毒をもつカビが混じった状態で培養を行ってしまった事が原因だと個人的に思っています。


青カビから発見されたペニシリン

食品に使われるのみではなく製薬の分野でもカビは役立っています。世界で最初の抗生物質であるペニシリンは、青カビから発見されました。しかし、現在カビから抗生物質の探索は殆ど行われていません。

抗生物質について

カビのように数珠繋ぎになる土壌細菌の放線菌から新規の抗生物質の探索が行われていますが、積極的には行われていません。それは、同じ命を救う薬ではありますが、抗がん剤や抗アルツハイマー薬の方が儲かるので大手の製薬会社ほど抗生物質にリソースを回せないのです。しかし、すべての抗生物質に抵抗性のある“スーパーバク”と呼ばれる菌も存在し、院内感染など起こってしまうと解決策が無くなってしまい自己免疫に頼るしか無くなってしまうのです。イタチごっこの様な状況の抗生物質開発の状況ではありますが、是非次世代の抗生物質を開発していただきたいと思っております。



一般的にこの梅雨時期に繁殖するカビは厄介な存在ですので、早めに防カビ対策をとっていただければと思います。

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