2024 ASMS(American Society for Mass Spectrometry)

#レポート2024.06.21

月日:2024年6月2日(日)~6月6日(木)

会場:アメリカ アナハイム






 

2024年6月2日から6日までカルフォルニア州アナハイムで開催されましたASMSに初めて参加させていただきました。

ASMSの初日は、弊社が販売実績の多いサーモフィッシャーサイエンティフィック社の発表会に参加して、新製品の情報取集を行いました。今回のASMSでは、新製品としてQTRAPの「Stellar」の発表がありました。現在のサーモ社の装置ラインナップでは、バイオマーカーを発見後の臨床検体を用いた実用性試験を行うための装置が欠けているため、このStellarはそれを行うための装置であるとの説明がありました。
また、2年前に発売されましたOrbitrap Ascendの3種(マルチオミックス、構造解析、バイオファーマ)の拡張パッケージの発表がありました。これは、今までオプション扱いだった部分について、目的別に推奨機能を明確にしてオプションを選択しやすくしたものだということです。
メイン会場では、プロテオミクスの重鎮であるMann先生の発表がありました。この先生が選んだ製品を他のプロテオミクスの関係者が導入していますので、サーモ社のプロテオミクスへの影響力の強さを実感しました。

その日の夜20時からはナイトセッションがありましたので、そちらにも参加してきました。各社の製品が展示してあり、実機を見てのプレゼンが行われていましたが、各社日本人のスタッフがいたため、日本語で装置の詳細を伺うことができました。昨年はほとんど新製品の発表が無かったと聞いていましたが、今年は多くのメーカーから新製品の発表があり、各社盛り上がっている中でも特にサーモ社が一番盛り上がっているように感じられました。
その他のメーカーでは、Waters社から卓上のQ-TOFの発表があり、分解能も100,000と高分解能の物ですが大きさは通常の物と比べて小さく、日本のユーザーにはマッチした商品であると感じました。Sciex社からは最高感度機である7500のマイナーチェンジ版の7500+が発表され、より汚れに強くなり、使い勝手が上がったとの説明がありました。

6月3日からは、コンベンションセンターでの学会発表が始まり、最先端の研究成果に触れることができ、大変勉強になりました。日本ではマイナーな分野でも多額の研究費用が出ていると感じられたのが印象的でした。また、高分解能のセッションでは、FT-MSとOrbitrap-MSを繋いだ発表が続きましたが、これらは5億円単位の費用がかかる装置ですので、世界の研究予算に驚きました。

また、今回のASMSには弊社のパートナー企業であるProtiFi社も出展されていましたので、ブースに立ち寄ってきました。ブースでは名古屋のオフィスで一緒に働いているJim氏が、ポスターセッションのプレゼンターとして発表されていました。オミクスデータ解析・可視化ソフトウェア であるSimpliFi™に関して、現在はセキュリティレベルの高い製薬会社でSimpliFi™を安全に使用してもらうために、プライベートサーバーの開発を進めているとのことでした。まだ日本での導入実績はありませんが、弊社もProtiFi社と協力して製薬のユーザー様に引き続きPRしていきたいと思います。

初めてアメリカに行った感想としては、カルフォルニアは砂漠に近いためか1日の気温差が大きく、朝夕は肌寒いものの昼間は汗ばむほどの気温になり、湿度が低いため日陰では涼しく大変過ごしやすかったです。
最初は緊張して臨んだ初めてのASMSでしたが、終わってみると大きなトラブルもなく帰ってくることができました。また、最新の研究成果に触れられる機会を与えて頂いたことに大変感謝していますので、できれば来年も参加させていただきたいと思っています。


担当:東京営業所 S.I.

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