2018 ASMS(American society for mass spectrometry)

#レポート2018.06.29

月日: 2018年6月3日(日)~6月7日(木)
会場: アメリカ サンディエゴ

 世界最大の質量分析学会ASMSは6月3日~6月7日アメリカ サンディエゴで開催されました。昨年のインディアナポリスと違いアメリカでも有数の観光地サンディエゴは気候も治安もよく、快適なところでした。
私は参加がこれで10回目ですが例年同様、ポスター発表は毎日約700枚が5日間の開催期間中、日替わりで発表しています。ただ、今回感じましたのはポスター発表数に変化はありませんが出展メーカーがだいぶ増えている点です。2年前は700社程度だったのですが今回は1117社と大きく増やしており、各メーカーの関心の高さも感じることが出来ました。そしてブースは消耗品会社よりも装置メーカーが多くなっておりました。
その中でKURA BiotecやOMNIなどを訪問致しました。KURA Biotecは前処理メーカーでございますがKURAの加水分解酵素は他社と違い、あわびの抽出物で作っています。新商品のBG Turboは今までとまったく違い、活性時の温度は20度~55度、さらに約10分で分解が終了出来る画期的な商品として紹介がありました。警察関連のお客様が中心になるかもしれませんがぜひ、紹介して参りたいと思います。また、OMNIはホモジナイザー専用のメーカーであります。ビーズホモシナイザーは日本でもいろいろなメーカーがOEM品を販売していますがそのオリジナルメーカーになります。ビーズの種類も豊富で、非常に効率もよくホモジナイズ出来ます。現在、弊社でもキャンペーンを行っていますのでこちらもぜひ、ピーアール活動を続けていきたいと思います。

新商品につきましては、弊社取扱いのサーモフィッシャーサイエンティフィック社のユーザーズフォーラムで3製品の発表がありました。その中でも一番注目はOrbitrap ID-Xになります。ID-XはFusionの廉価版になりますが分解能m/z200において50万あります。ただし、低分子を意識した商品となるため質量範囲は2000までになります。キャリブレーションも今までは低分子では出来ませんでしたが、可能となっております。また、オプションになりますがID-X専用ソフトウェアAcquireXが発表されました。BlankでExclusion List、sampleでInclusionListを自動で作成してくれ、差分解析やライブラリ検索などはCompound Discoverver3.0と連動により可能になりますので手作業を大きく改善してくれること間違いございません。
次はQExactiveUHMRになります。こちらは先程の低分子を意識しているのとは間逆で、質量範囲が8万までとなっている新しいタイプのQExactiveです。バイオユーザーをターゲットとした装置になっております。
最後はFortisになります。昨年に新商品としてAltisとQuantisが販売されましたので新商品が出てくるかもしれないと考えておりましたが、予測とは違ってAccessMAXの後継機種として発売されました。 スペックと致しまして質量範囲は5~3000。感度は他社の中堅クラス装置と同じスペックになります。特徴と致しましては、新しいイオンガイドとしてマトリックスセパレーターイオンガイドを採用しておりマトリックスを除去する機能を強化しているようですので農薬などの測定をされるお客様には最適な装置ではないかと考えます。
また、他社の新商品として注目はブルカーより新型FTMS ScimaXが発表されております。特長は今までもSlariXと比較致しましては分解能等の性能はそのままで小型になり、液体ヘリウム等の使用もなく、QTOFなどと同様に使用出来ます。こちらも今後台風の目になってくる装置ではと考えております。

渡米後の休日を利用して全米オープンも開催されたことのあるパインハーストリゾートにてゴルフも行いました。海沿いのゴルフ場で、とてもきれいで楽しくやれることが出来、また時差ボケ対策にもなり、翌日から開催されたASMSにも気合が入りました。
今回で10回目の参加となりましたASMSですが毎回毎回、新しい発見がございます。私は今後も毎年参加し、この業界の最新情報を見聞きしたことを、中部科学機器として日本のお客様にご紹介し続けて参りたいと思います。

担当:東京営業所 S.I.

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