今回はトヨタ自動車株式会社に関連する企業向けに、「もっといいクルマづくりを支援するツール提案」というテーマのもと、見て、触って、納得できる体感型の展示会として78社170点の製品が展示されました。約5,000人もの人がこの3日の間に来場され、弊社の出展ブースにも大変多くのお客様にご訪問いただきました。弊社のブースでは卓上SEMの実機を、お客様に実際に触っていただくなかで様々な質問や技術相談などが交わされました。お客様の中にはサンプルを持参していただき、装置を見ながらその場で議論をするケースもあり、盛況のうちに終わりました。

今回出展したこの卓上走査型電子顕微鏡について簡単ですがご紹介します。
走査型電子顕微鏡は、一般的には「SEM（セム）」と呼ばれており、機種によっては数10万倍もの倍率で対象物質を見ることが可能な顕微鏡です。ほとんどは「据え置き型」の装置で、洗濯機2～3台分もの大きさがある非常に高価な装置です。大学や民間企業などで幅広く使われており、近年の研究開発業務においてはなくてはならない装置の一つとなっています。

弊社が出展しましたのは「卓上型」の走査型電子顕微鏡で、システム一式で電子レンジくらいの大きさしかなく、非常に省スペースですので、実験室の机にも設置することができます。また、卓上型にも関わらず数万倍の倍率を誇り、さらに元素分析をすることができます。装置の取り扱いも非常にシンプルで、不慣れな学生であっても簡単に操作、観察できることも特徴です。ここ2，3年で同様な卓上電子顕微鏡が世界的に販売されるようになり、注目を集めている装置です。

数社ある卓上電子顕微鏡の中から、弊社が取り扱っております製品は、オランダのフェノムワールド社製のもので、他社の製品と比較して優れた点がいくつかありますので代表的なものを3つほどご紹介します。

1つ目の優れたところは、倍率の異なる3つの画面を同時にディスプレイで確認できる点です。メインの電子顕微鏡観察画像だけでなく、低倍率電子顕微鏡および光学顕微鏡観察画像も同時にディスプレイに表示されます。これによって、現在自分が測定対象の、どの部分を観察しているかわからない、といったことがなくなります。さらに、3つの画像は連動していますので、どの観察画像をマウスでクリックしても目的の場所まで瞬時に視点を移動させることができます。

2つ目は、高輝度かつ高分解能が得られる長寿命のCeB6電子銃を有している点です。一般的なタングステンフィラメントよりも、非常に長寿命で優に1,000時間を超えますので、測定中にフィラメントが切れて業務が滞ってしまう、といったことがほとんどなくなります。また、細い電子ビームを出すことができますので、高い分解能で高画質の画像を得ることができます。

3つ目は、豊富な試料ホルダにより、様々なアプリケーションに対応可能な点です。例えば、帯電しやすい試料などは、一般的には金蒸着が必要となりますが、「チャージ軽減ホルダ」を用いることで、前処理不要でそのまま装置にセットして観察することができます。他には、「温度調節ホルダ」を用い、ペルチェ素子で冷却することで水分を含んだサンプルも測定することが可能です。

代表的な点を3つ挙げましたが、その他にも、優れた計測ソフトやメンテンナンス性の良さなどもおすすめできる点です。何よりもサンプルを装置にセットしてから30秒もあればすぐに観察画像が得られますので、多忙な業務の中、その場ですぐに観察したい場合には最適な装置です。

今年の6月には、本装置を三重県の化学系のお客様にご購入いただきました。決め手となったのは、上記に挙げた3画面同時観察ができた点と、ソフトウェアの使いやすさでした。装置担当者に最近お会いした際には、「誰でも使えるため、使い方の指導に時間がかからないのも助かりますね。」と、おっしゃっていただきました。

このように高性能ながら、非常に手軽に使っていただける顕微鏡ですので、いろいろな場面でお客様のお役に立てる装置かと思います。

本展示会に出展したなかで、お客様が現在どういったことに困っているのか、どういった装置があると業務の効率化につながるのか、といったお客様の生の声を聞くことができました。いろいろなご意見をもとに、弊社がご紹介した卓上SEMだけでなく、お困りの案件に適した解決策をご提案することで皆様にお役に立てれば幸いでございます。