2006年 アウトガス分析セミナー
会場:TKP横浜東口駅前大会議室
月日:2006年6月16日(金)
セミナー内容 ①アウトガスによる健康影響から評価法まで 講師:東京大学 熊谷先生 ②チャンバーを用いた各種材料・製品のアウトガス分析 講師:(有)アドテック ③熱抽出装置を利用した材料中揮発性有機化合物 分析方法の紹介 講師:(株)パーキンエルマージャパン |
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今回、弊社主催、パーキンエルマージャパン社、アドテック社共催により、アウトガス分析セミナーを開催いたしました。弊社ユーザー様への案内以外にも、インターネットからの応募も多く、アウトガス分析への関心の高さを感じたセミナーになりました。定員50名を予定しておりましたが、案内を始めた当初から多数の応募を頂き、あっという間に定員を超え反響のすごさを実感しました。当日は朝からの雨で足元も悪く、欠席される方が増えるのではと心配しましたが、定員以上のご出席を頂き、窮屈な思いをさせてしまい反省するほど盛況でした。この理由としては、たんぱく質解析、食品分析などのセミナーは多数開催されていますが、アウトガス分析を題材としたものは非常に少ないという背景があるものと思います。
はじめには、招待講演として東京大学 新領域創成科学研究科 熊谷先生にお話を頂きました。先生は、とても気さくな方で、セミナー後の懇親会でも積極的にユーザー様と懇談されていらっしゃいました。愛知、大阪からのご出席者にとっては、先生のご講演を聴くことが出来る貴重な機会だったと思います。ご講演内容は、建物、家電、自動車などの材料から放散する化学物質について、日本および海外の法規制、各業界団体規制、健康影響、測定法、評価法。毒性が強い化学物質の少しだけでの暴露よりも、毒性の弱い化学物質を大量、もしくは継続的に暴露されるほうがリスクが大きくなるとのことで、人間が活動する室内(自動車、飛行機、船なども含む)に放散されている化学物質の存在を再認識いたしました。我々も日頃、前処理から分析装置の提案は行っていますが、詳しい規制、健康影響などの情報についてはなかなか聞けることが少なく、ユ-ザー様のみならず、我々にとってもとてもよい機会となりました。 (株)パーキンエルマーの発表では、熱抽出装置を利用した材料中揮発性有機化合物分析方法のいうことで、ヘッドスペース、トラップサンプラー、サーマルディソープション、GCMSについて、アプリケーションのご紹介をいただきました。ヘッドスペースでは、サンプル瓶内部の平衡化の大切さ、圧力バランス法の必要性があります。ヘッドスペースは定量性に問題があるなどのお話しをユーザー様から度々伺うのですが、圧力バランス法であれば定量性もまったく問題がないようです。また、サーマルディソープションでは、液体窒素が不要でGCやMSに負担がかかる水分の除去が可能なペルチェ方式のトラップ管冷却が特徴的でした。サーマルディソープションの新製品である再捕集システムは、サンプル測定中にリークなどで分析が失敗した場合でも、スプリットして排気していたガスを自動的に再度トラップ管に捕集できるので、サンプル再採集の必要がなくなり、分析業務の効率化が図れるシステムになっています。また、トラップサンプラーは、ヘッドスペースでありながら、トラップ管に4回まで捕集、すなわち濃縮できるシステムであり、VOC、カビ臭分析などへの応用も期待できると感じました。水道法のカビ臭分析で、2MIB、ジェオスミンが1pptという高感度で測定出来、公定法に採用されるようになればと願います。 セミナー後の懇親会では、実際に装置を使用されているユーザー様と今後装置の導入を検討される予定の方々から、多数ご質問、ご意見を頂くことが出来ました。法規制、業界団体自主規制などへの対応の必要性から、まったく新たに分析部門を立ち上げられたユーザー様も多く、今回のようなセミナーへの期待と弊社からの情報提供の必要性を強く感じました。 今回は、弊社主催のセミナーを初めてプロデュースしました。不慣れで戸惑うことも数々でしたが、いろいろな人に助けられながら何とか司会もこなせたことで、私の今後の仕事に活せるものになったと思います。弊社は、ユーザー様のご要望を伺いながら、サンプリング、前処理、分析から解析までトータルプロデュースできる企業を目指しています。これまで質量分析装置を主体とした提案を多く行っておりましたが、今回のセミナーで改めて質量分析装置使用の前の部分の重要さを感じました。これからも私共のユーザー様に向けて、情報の提供と、新しいハード、ソフトウエアの紹介をさせて頂けるよう努めて参ります。 |
担当 東京営業所 K.M