まだ肌寒い日本を離れ目的地オーランドに着くと、カラリとした空気と暖かな日差し、半袖短パンの外国人もおり、少々季節外れな格好をした自分に気付きました。とはいえ、ディズニーワールドやユニバーサルのある観光地オーランド、空港には何店舗ものディズニーショップや遥か彼方まで見えそうな景色にそんな事はすぐに忘れてしまいました。
PITTCON会場に着き、2階の中央通路から会場を見渡すと、左右の遥か先まで企業のブースが立ち並び国内の分析展とのスケールの違いに圧巻でした。階下は天井も高く、それぞれのブースはゆったりと構えており、日本の研究室等に置くと大きく圧迫感のある装置も小さく見えてしまいました。
今回一目置いた装置と言えば、AgilentのTriple 四重極とQ-TOF のLC/MSです。特に定量目的で多く使うTriple 四重極は、サーモエレクトロン、Waters、アプライドの3社に加わり、より一層競争が激しくなりそうです。ただ私達ディーラーは競争により価格帯が下がれば、より一層お客様へご提案し易くなりますので各社の特徴と価格を吟味した上で、ご提案して行きたいと考えています。
バリアンでは、新型のICP/MSを発表がありました。感度や干渉対策も施され、ソフトは以前より定評があるので楽しみな装置です。又、LC/MSのラインナップにFT-MSやイオントラップも加わり、有機分野への進出が伺えました。
サーモエレクトロンでは、発売以降、評価の高いLTQ Orbitrap ハイブリット質量分析装置はGold Awardを獲得しました。分解能10万のデータとMS/MSのデータを2つの検出器で同時に取れる、この装置のパフォーマンスが世界に認められたと言えますね。極めて構造決定能力の高いこの装置は、競争の激しい新薬開発、化学材料開発等にとって、必要不可欠な装置となって行く事は間違いないでしょう。
ダイオネクスのUltiMate 3000も Gold Awardを獲得しました。このLCはスプリッター方式を使用し、センサーでカラム流速を常時モニターしフィードバックする事により、ナノフローにおいても高い再現性を実現します。
さて、一番の目的は、海外製品でまだ国内に入っていない物を、いち早く探し出し輸入を検討する事です。1000社を超える企業の中には、手の平に乗る程のGCにはTCD検出器と極細の0.05mmIDのキャピラリーカラムとを採用し世界の技術力に圧巻でした。狭い工場内に持ち込み作業環境をオンサイトでモニタリング可能等、揮発性物質には吸着性の高い成分も多いので持ち運んでの測定は非常に有利な点が多いですね。
前処理装置も多くみられました。液-液抽出から固相抽出に推移している今、自動固相抽出装置も多いです。又、無機では煩雑さや酸溶媒・高温分解などの危険を回避する事が出来る製品は魅力的ですね。国内販売が無くポテンシャルの高い装置については、弊社Sales Engineer Groupでサポート体制が整い、ご提案できる段階になりましたら、PRさせて頂きたいです。
GCやLCに使用するバイアルについても注目して見ました。しかし品質を追求する弊社としては、クラス10kのクリンルームで製造工程を行う、現在取引中のマイクロリッター社製が品質・価格ともに最良と言えそうです。
LCの消耗品を扱うメーカーでは、Waters、島津、サーモエレクトロン等のランプ、プランジャー、シール、チェックバルブ等を取り揃え、又、バリデーション用に試薬・カラム・エクセルファイル等を含んだキッド等も展示されておりました。日々の機器管理には十分、サードパーティで対応出来ますね。医薬品でもジュネリック医薬品が注目されている現状、格安なサードパーティーを普及させ、お客様のコストダウンを促進させるのは私達ディーラーの努めですね。
また、Sales Engineer Groupとしては、格安なサードパーティーを調達し、各LCメーカーの日常点検やバリデーション点検等のサポートも将来的には行いたいですね。装置の保守にかける時間や労力も企業活動では重要なファクターですから、メーカーと競争する事業が普及すれば、今以上にサービスやコスト面で活性化するでしょうから。
このPITTCON2006では、多くの製品に出会う事が出来ました。そして私達ディーラーはこの世界中の装置を国内に伝えて行かなければならないと感じました。たとえニッチな市場であっても必要とするお客様のために出来る事をしたいと考えています。 |