第28回 農薬残留分析研究会

#レポート2005.10.11

会場:愛知県労働者研修センター サンパレア瀬戸
月日:平成17年9月8日(木)~9日(金)

 東海地区で、ポジティブリストの導入における農薬分析の現状と今後の情報収集、またユーザー様とコミュニケーションを図ることを目的に参加致しました。
参加人数が230名と多く、ポジティブリストに対する興味の高さに非常に驚かされました。ポジティブリストといえど、一般農産物以外のマイナー作物などの生産者は、苦労を強いられている声を直接伺うことが出来ました。

厚生労働省が食品衛生法に基づいて設定している残留農薬基準が平成18年5月29日までにポジティブリスト制に移行されます。その最終案には、
①一定基準の設定:残留農薬基準が定められていない農薬は、0.01ppm。
②対象外物質:食品健康影響評価により毒性的に不要とされている農薬。既に規定されている農薬。12以外で使用されているが、その残留の程度により人体に影響の無い農薬。
③暫定基準の設定:国際基準であるコーデックス基準で定めていく。
以上の3点を挙げられています。また、平成17年6月13日時点で農薬物基準農薬は580種、畜産物の暫定基準320種の残留農薬試験法の開発検討を、国立医薬品、食品衛生登録検査機関、各県の衛生試験所の各機関で実施されています。GC/MS(MS)による一斉分析法、LC/MS(MS)による一斉分析法、サンプル調整処理などの試験法開発検討結果については、国立医薬品のホームページに随時掲載しています。その他、蓄水産物、加工食品、ミネラルウォーターなど分析法の開発検討などの今後の課題についても報告がありました。
マイナー作物に係わる経過措置延長と現状では、しそ、食用きく等のマイナー作物に利用されている農薬の種類などによりグループ化し、各都道府県により利用農薬登録の受付、作物残留試験、薬害試験、薬効試験の上での登録。登録要望の拡大に伴い、対応が遅れている状況です。しそ等のつまもの栽培では利用登録が少ない為、収穫量の安定的な確保が困難な状況。現在の登録農薬制度は、販売数が少ない農薬メーカー側で十分な試験や利用登録が行われず、各都道府県の自治体の時間と労力による作物残留試験などの登録が殆どですが、天候やその年の状況により、より良い試験結果が出ない場合もあり、利用登録が思うように進まないそうです。メジャー作物と同様の規制を受けるのはおかしいと発表がありました。
愛知県はつまもの栽培が多く、平成15年の農薬取締法改定時は登録農薬がほとんど無かったようです。農業総合試験所は農薬付着量の測定法を確立し時間と労力にかかる試験を簡易化していけるようデータを収集し、マイナー作物の農薬適用拡大を図るようです。
愛知県は、農業生産が全国6位。その大半が大葉、しそ、ふき等のマイナー作物を生産しています。これらは残留農薬が少ない為、生産が不安定になることが懸念されています。各品目による農薬登録の迅速化とグループ化を農水省へ訴え、消費者などへ農薬登録制度や生産現場の実情、安全性のアピールを図って欲しいとの事。

各機器メーカーからのポジティブリスト制度に関わる多成分分析のGC/MS、LC/MSの応用についてご紹介頂きました。
•日本ウォーターズ(株):一斉分析の信頼性を図る解析ソフトTargetLynxの発表 。
TargetLynxは試料中のピークが目的化合物の確認が簡単に出来ます。農薬の一斉分析に受ける確認分析、定量計算とデータの妥当性確認が簡単に行なえます。トリプル四重極LC/MS/MS Quattro micro、Quattro Premierに対応しています。
•バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド:1200LC/MS/MSによる一斉分析。
•サーモエレクトロン(株):より選択性を高めたH-SRMモードを用いた多成分一斉分析例。T社で行なったサンプルをもとに夾雑物の多いねぎなどのサンプルで農薬の多成分析例。H-SRMによる選択性の幅を広げる機能紹介。
•(株)島津製作所:QP2010、LC/MS2010EVの分析例。
•横河アナリティカルシステムズ(株):Agilent1100LC/MS/MSD/TOFによる食品残留農薬のアプローチ。精密質量測定による残留農薬分析。

今回の研究会に参加することで多くの分析者とお話しする機会を持つことが出来、高性能の装置を有効に利用して頂き、より良く活用して頂けるよう、私達ディーラーは活動していかなければならないと感じています。

担当 名古屋営業所 K.Y

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