日本法中毒学会 第43年会

#レポート2024.07.08

月日:6月29日(土)~30日(日)
場所:千葉大学 亥鼻キャンパス いのはな記念講堂


千葉大学亥鼻キャンパスで開催されました日本法中毒学会第43年会に参加させていただきました。参加者は150名前後で、ブースを出展したメーカーは11社でした。

今回は「法中毒学会の新機軸」と題されているとおり、最も注目されていたのは「大麻取締法と麻薬及び向精神薬取締法の一部改正」であったと思います。
今回、私は主に以下の3つの内容に参加しました。1つ目がサーモフィッシャーサイエンティフィック社によるランチョンセミナー、2つ目がポスター発表、3つ目が国立医薬品食品衛生研究所・花尻瑠理氏による教育講演です。


1つ目のサーモ社によるランチョンセミナーの内容は、「薬毒物分析の最新ソリューション~スペクトルライブラリー、LC-MS分析パッケージ、LCおよびGC Orbitrap MSによる未知薬毒物同定ワークフロー~」というものでした。
登録型ライブラリーである「mzCloudライブラリー」に多数の薬毒物関連化合物のMSnスペクトルが搭載されており、今後も増える予定という発表でした。さらに、薬毒物分析に特化した「Tox Explorer Collection」なる分析パッケージの紹介もありました。


2つ目のポスター発表ですが、今回は全部で23のポスターが掲示されていました。発表内容は、麻薬関連以外の薬物中毒も含まれて多岐にわたっていました。
その中で最も私が興味を持ったものは「QuEChERS法の血中夾雑物除去効率の解析」と題して、QuEChERS法と有機溶媒による除タンパク法を比較したものです。この内容ではQuEChERS法のほうが血液試料中の夾雑物(タンパク、脂質、電解質…など)の除去効率が高かったことが示されており、今後もどの分野においてもQuEChERS法が広がっていく空気を感じました。


3つ目の教育講演は「大麻とカンナビノイド-日本における流通と法規制の変化」という題目で、これまでの大麻の歴史と変遷を学ぶことができました。
今回の法改正で大麻は麻薬と同様にみなされ、麻薬取締法違反で使用罪が問われることとなります。従来の大麻取締法は主に大麻の栽培等を規制する法律となり、これまで他の麻薬とは異なる位置づけをされていた大麻も、覚醒剤などと同様な扱いとなります。この背景には、年々増加していた大麻による検挙数がとうとう覚醒剤を抜いて一位になったことが一つあると言われていました。


今回は大麻取締法と麻薬取締法の一部改正のタイミングということもあり、とても興味深い内容の話が多かったです。また、ポスター発表で確認をできたLCMSメーカーでは、サイエックス社の数が最も多かったことも印象的でした。


担当:東京営業所 H.Y.

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