2023 ASMS(American Society for Mass Spectrometry)

#レポート2023.06.22

月日:2023年6月4日(日)~6月8日(木)

会場:アメリカ ヒューストン

ASMS2023

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Strap

ASMS2023
ASMS2023




 

世界最大の質量分析学会ASMSが6月4日~6月8日の5日間、アメリカ第4の都市ヒューストンで開催されました。
コロナ禍の影響もあり今回は4年ぶりの参加でしたが、初めて訪れたヒューストンはとにかく蒸し暑いこととスコールが多いといった印象でした。

私がASMSに参加するのはこれで12回目になりますが、今回は以前と比較してポスター発表が多く、毎日870枚が5日間の開催期間中に日替わりで発表されており、特にプロテオーム関連のポスターが多いと感じました。出展メーカーは927社と多かったですが、以前と比較して消耗品関連が減り、ソフトウェア関連会社の出展が増えている印象でした。

その中で、今回出展はありませんでしたが、弊社が輸入しておりますKURA Biotech社との打合せを行なうことができました。KURA Biotech社は前処理メーカーですが、他社の加水分解酵素と違い、アワビ由来の精製物になります。
中でもBG Turboは、活性時の温度が20度~55度、さらに約10分で分解が完了できる画期的な商品です。警察関連、臨床検査関連のお客様が中心になるかもしれませんが、ぜひ紹介していきたいと思います。また、新商品として食品のサルモレラ菌検出キットも発売されております。こちらも弊社の試みとして、食品会社やコンタクトラボにピーアールしていきたいと考えております。

また、今回は新しく弊社と取引を始めておりますProtifi社が出展し、さらにHospitalty suitesにも参加しておりました。Protifi社は、プロテオームの前処理と測定結果のデータ処理に重点を置いて製品開発を行っている、ニューヨークが本社のバイオベンチャーです。主力製品であるS-TRAPは、プロテオームの前処理を全てのサンプル種について1つのメソッドで処理できるおそらく唯一の製品で、自動化に向いたデザインになっています。
今後、日本でもプロテオームの発展に伴って前処理製品も必要になりますので、その有力な製品であるS-TRAPには注力したいと思っております。さらに、プロテオーム解析の結果得られる膨大なデータを処理できるSimpliFiは、分析装置の発達による更なるデータ量の増加で需要が増えると考えられます。

他にも弊社は、バイアル瓶などのクロマト関連の消耗品を多く輸入しておりますが、さらに取引企業を増やしていきたいと考え、96穴プレートやPipetを販売している企業とも打ち合わせを行いました。こちらの商品は品質が非常に良いとのことでしたので、サンプルを入手次第、お客様に新たにピーアールしていきたいと思います。

新商品としましては、弊社で取扱っておりますサーモフィッシャーサイエンティフィック社のユーザーズフォーラムで、新機種のOrbitrap Astralについて発表がありました。Orbitrap Astralは、まったく新しい検出器Astralを搭載した装置になります。Astral検出器の最高分解能は8万ですが、スキャンスピードが200Hzと圧倒的に速いです。TOFのような検出器で検出器の両サイドがミラーのようになっており、小さな機構ながらも距離として30mの距離を保つことが可能です。Astral検出器の手前にはイオン量をコントロールできる特許のAGCコントロールを搭載しており、効率良くイオンを取り込むことが可能となっております。約80%のイオンを検出器に送り込むことが可能ということから、イオンロスが少なく、感度が非常に良い点が特徴です。また、この装置には四重極、Orbitrapも搭載しておりますので、低分子での分解能を必要とするサンプルはOrbitrapでも測定が可能となっており、プロテオーム関連の仕事をされるお客様にとっては画期的な装置が発売されたと感じております。ただし、価格がかなり高いことが予想されますので、その点だけが懸念点となっています。

また、他社の新商品としましては、Sciex社より質量分析装置にきちんと接続できるキャピラリー電気泳動が発売されておりました。こちらもプロテオーム関連を意識した商品であると感じました。他にはブルカー社の勢いを強く感じ、timsTOFが日本においてももっと販売されていくのではないかと感じました。


渡米後は、毎日ジョギングも行いました。走ることで時差ボケ対策とリフレッシュになり、夜遅くまで開催されるASMSに良いコンディションで参加することが出来ました。
今回で12回目の参加となりましたが、毎回新しい発見があります。私は今後も可能な限り参加し、この業界の最新情報を見聞きしたことを中部科学機器として日本のお客様にご紹介し続けて参りたいと思います。


担当:東京営業所 S.I.

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