第14回 JBFシンポジウムに参加して
今回のJBFは、今年2023年3月1日から3日までの3日間、東京都江戸川区のタワーホール船堀でリアルとオンラインのハイブリッドで開催されました。
JBF(Japan Bioanalysis Forum)とは
JBFは、バイオアナリストの為のフォーラムです。バイオアナリストとは、試料中に何が含まれているかを正確に測定する事を目的としている研究者の方たちの事です。
なぜ、正確にサンプルの中を測定する事が重要なのか?
JBFに参加されている方たちは、薬に関係する仕事をされている方が多くいらっしゃいます。つまり、錠剤中に有効成分が表示通り含まれているのか?余計な物(不純物)は含まれていないのか?また、飲んだ薬が吸収されて血液中にどれぐらいの時間有効成分が代謝や排出されずに残っているのかは、薬の効果に直結する情報であるため、より正確なデータが求められます。
新型コロナウィルスの流行によって、これまで学会はオンライン開催に切り替わっていましたが、今回のJBFは約3年ぶりの現地開催となりました。さらに、薬の進化の速度が上がっているため、これまでとは違う“中分子”と“データインテグリティ”がテーマになっていました。
この“中分子”と“データインテグリティ”というテーマに関して、私が思うところを以下に述べさせていただきます。
“中分子”とは?
“中分子”とは、現在の新薬開発のメインテーマの一つです。核酸やペプチドを主成分とした薬が中分子薬です。これまで、開発が進んでいた高分子薬は、抗体(タンパク質)が主成分です。高い薬効を持っていますが、製造や管理にコストが掛かる事と経口投与(飲み薬)が出来ない事と長期投与によって体に抵抗力がついてしまう事など欠点も多くあります。
この欠点が無いのが、中分子薬です。その為、開発が進んでいます。
データインテグリティとは?
“データインテグリティ”とは、日本語では“データの完全性”と言います。データの完全性とは、バイオアナリストの方々が日々測定した結果が蓄積されていきますが、この結果については全てが完全な状態で保存されなければなりません。つまり、結果の改変が出来ない状態で保存する必要があります。このためにデータは2つの方法で保存されています。電子データもしくは紙(印刷)、またはその両方で保存されています。データで保存することの良い点は場所を取らないことと、検索もしやすいことです。逆に紙での保存は、保存するための場所を取り、検索もしづらいです。
では、何故紙で保存するのでしょうか?それは、印刷物は改ざんが難しく、安全に保管することが出来るからです。この様に測定データは、得られた状態で正しく保管されている必要があります。これが、“データの完全性”です。
なぜ“データの完全性”が重要なのか?
それは、この測定データは薬の有効性に直接関連するデータだからです。もし、この測定データが間違っていた場合、薬の効果を正しく判断することが出来なくなってしまいますし、悪意ある第3者によって測定データを見られてしまうと巨額の費用が掛かる新薬開発が中止されてしまいます。それほどの重大なテーマなのです。
弊社は、数年前より今回のテーマである“中分子薬”と“データインテグリティ”に役立つ製品を数多く販売させて頂いておりますが、これからもトレンドを先取りした提案をさせて頂き、お客様の研究の一助になれば幸いです。
東京営業所 営業 S.T.