2007 ASMS (American society for mass spectrometry)
会場:アメリカ インディアナ州インディアナポリス
月日:2007年6月3日(日)~6月7日(木)
今年も質量分析学会ASMSが6/3(日)から7日(木)までの5日間の日程で、アメリカのインディアナポリス Indiana Convention Centerにて、開催されました。
今回のASMS学会視察の目的は、次世代の質量分析装置並びに前処理装置など研究に役に立つ製品の情報収集とメーカーの新製品調査です。 今回特に注目したところは2点ありました。 2点目は電場型FT/MS及びFTICR(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance) フーリエ変換質量分析装置についてです。高額な質量分析装置ですが、操作性もかなり良くなり、電場型の登場で設置の制限も少なくなりました。更にECDだけではなく、今までリニアイオントラップ型質量分析計のみに搭載されていたETDなどのアプリケーションも増えてきました。ETD (Electron Transfer Dissociation)は分子量の大きなペプチドやリン酸化ペプチド解析に有用な新しいイオン解離法ですが、サーモフィッシャーサイエンティフィックのOrbitrapにもETDが搭載されるようになりました。プロテオミクスでのb、yシリーズイオンのみならずc、zシリーズのイオンのデータからも高質量精度、高分解能での解析、同定が可能になります。 新製品としては、サーモフィッシャー社からガスクロマトグラフトリプル四重極型質量分析装置TSQ Quantum GCがありました。従来からのTSQシリーズにGCのインターフェースを搭載し、高感度、高分解能での定量分析が可能になります。食品中の残留農薬分析でも10ppbを楽に検出し、ソフトも使いやすさに定評のあるXcaliburが基本で、レポート作成も簡単になります。 ポスターセッションでは、独立行政法人 製品評価技術基盤機構様からアスペルギルス オリゼのプロテオーム解析の発表がありました。アスペルギルス オリゼは味噌、醤油などの醸造に不可欠な麹菌で、この日本固有種を解析し、発酵業界活性化の一助にと考えられています。ゲノムから遺伝子情報を予測し、プロテオーム解析によりタンパク質の同定、遺伝子のタンパク質コード領域修正などを行っていらっしゃいます。また、味噌、醤油の味を左右するタンパク質を培養条件の違いによって発現させ、解析もされています。以上のことから、産業界にも質量分析が欠かせない存在になっていることを改めて感じました。 今回ASMSに初めて参加しましたが、予想以上に熱気とパワーを感じました。今後も欧米のみならず、日本をはじめ中国などアジア圏でも実用的な研究が更に増えてくると思います。また、クリニカルな分野での質量分析の発表も多数あり、バイオマーカーの定性、定量による成人病診断など、更に医学の発展に繋がるものと確信しました。私も最新のテクノロジーを搭載した質量分析装置を提案して、クロマトやMSに精通した代理店として社会貢献して行きたいと思います。 |
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担当 東京営業所 K.M